極秘制裁

Secret Sanction

ブライアン・ヘイグ / 新潮社 / 2001/06/01

★★★★

注目すべき新人

 著者は元国務長官のアレグザンダー・ヘイグの息子。米陸軍に勤務し、1997年に中佐で退役し、小説を書き始めたということらしい。

 本作は、合衆国陸軍の特殊部隊がコソヴォ自治州でセルビア人を虐殺したという疑惑を、陸軍法務官が調査するというストーリー。訳者あとがきにもあるように、どこかで読んだり見たりした話のパッチワークという感じだが、とりわけテーマの取り上げ方と主人公の設定の仕方がネルソン・デミル(『プラムアイランド』など)にそっくりだ。元軍人だけあって、陸軍の仕組みの細かい描写は面白く、軍人/元軍人の作家にしては、軍隊のあり方について比較的冷静な視点を持っている(デイル・ブラウンのような能天気ではないということ)。

 軍隊内の官僚制をくぐり抜けながらの探偵物語。肝心の事件の仕掛けはちょっと拍子抜け。事件の概要を読んだ瞬間に予想できるような「真実」ではある。だから、その解明とエンディングに向けての部分はかなり弱いのだけれども、それまでの流れはその弱さを補って余りある。今後、軍隊を舞台にした政治小説みたいな路線を突っ走るのであれば大いに期待できる。

 軍隊内のlawyerを扱った話としては、『バーニング・ツリー』があった(ただし小説としてはひどい出来)。『犯罪捜査官』は犯罪捜査局(CID)の捜査官を主人公にした小説。映画では、『英雄の条件』がまさに軍隊内のlawyerを主人公とする話で、ストーリーにも似ているところがある。『将軍の娘』はCIDの捜査官を主人公とする、ネルソン・デミル原作の映画化。

2001/6/14

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