米国通貨戦略の破綻

強いドルはいつまで続くのか

森佳子 / 東洋経済新報社 / 2001/06/21

★★★★

なかなかの迫力

 著者はロイター通信社記者。本書は、特に1995年から1999年にかけて財務長官を務めたルービンによるドル高政策と、いわゆる「ウォール街・財務省複合体」のグローバルな金融マーケットにおける活動を時系列的に解説する本。「マネー敗戦」史観1990年代後半バージョンと呼ぶべきスタンスである。

 ふと気づくと、『クルーグマンの良い経済学悪い経済学』で批判されていたような「俗流国際経済学」を唱える人はいなくなり、したがってそれに対する批判も見掛けなくなった。この本の最大のテーマであるルービン長官のドル高政策のもとで語られたのは、ヘッジファンドなどのキーワードに象徴されるグローバルなマネーの動きとその崩壊、そして「ウォール街・財務省複合体」という言葉に象徴される陰謀史観である。本書の基本的な姿勢は、クリントン大統領の第2期においてルービン財務長官が指導したドル高政策はその限界に来ており、いつか破綻するというもの(『「米国一極集中」の投資リスク』『アメリカ経済の繁栄は続くか』など)。ブッシュ政権は非常に重い荷物を背負わされた、ということになる。

 臨場感があって面白い読み物。ただ、内容そのものについてはよくわかりません。この手の話は、いろんな人が立場によっていろんなこと言うし、私自身が何か特定の立場にいないこともあって、どれかに肩入れする動機があまりない。ただ、たとえば『オーロラの彼方へ』のような楽観的な映画が、「黄金の50年代」と同じような含意を持つ「黄金の90年代」という表現で懐かしく振り返られることになるんだろうなと思うと、少し怖くはなる。

2001/6/14

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