新しい歴史教科書「つくる会」の主張

西尾幹二編 / 徳間書店 / 2001/06/30

★★★★

資料として面白い

 『新しい歴史教科書』の執筆者たちが書いた短い文章が入っている。『新しい公民教科書』への言及も少しある。

 藤岡信勝の「教科書「ウラ検定」が「オモテ採択」資料に化ける怪」という文章は、教科書採択の決定プロセスにおける都道府県の教育委員会の役割を指摘していて非常に興味深い。かつては日教組が行っていたフィルタリングを、いまでは教育委員会が行っているということである。このレベルでのフィルタリングは、教科書の出版社の売上を左右するので、コントロールの力が非常に強いものと思われる。なお、「つくる会」の主張は、彼らの執筆した教科書は文部科学省の学習指導要領に忠実であり、教育委員会の方がそれに反しているのである、というもの。

 巻末には文部科学省による検定意見とそれに応じて行われた修正の一覧が収録されていて面白い。教科書の検定はしんどそうな仕事である。

 その他の文章は別にどうでもよいのだが、上記の2つは貴重だ。

 なお、今回の、「つくる会」の教科書が検定を通ったという事件は、やはりエポック・メーキングな出来事だったのだと思われる。その背後には政治的な動きがあったと噂されているようだが、私は詳細を知らない。私は「つくる会」の立場にあまり共感しないけれども、彼らの活動が「教科書問題」の認知度を高めたことは大いに評価すべきだと思う。「つくる会」への批判者たちがいくぶん冷静さを欠いた反対キャンペーンを繰り広げたことは今後に禍根を残すだろう。

2001/6/28

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