鳥頭紀行 ぜんぶ

西原理恵子 / 朝日新聞社 / 98/05/05

★★

保身が見える哀しさ

 「マルコポーロ」、「オズマガジン」などに掲載された旅行記を中心としたマンガ集。

 一連の作品を見て連想するのは、編集者を引き連れて銀座のバーを徘徊する文壇の人、である。プロ麻雀の世界のことを描いていた初期の頃は、「そのような文壇の人に付いてまわっている若手女編集者」であったが、いまや「文壇のオヤジ」そのものとなっている。

 旅行記ということになると、どうしてもねこぢるのインド旅行記と比較してしまう。ねこぢるの旅行記は、この人が自分の体験をマンガに描いたのは確率的な事象であり、サイの目が「描く」という方に出たのは、読者にとってありがたいことであったと思わせるようなものだった。一方、西原理恵子のマンガは、編集者の庇護のもと、マンガに描くという言い訳を用意して、安全な場所から予定調和的なバカをやる、という類のものだ。ダウンタウンやとんねるずを思い出させる。面白ければ別に何の文句もないのだけれども、面白くない。保身に汲々としているというカテゴリなら、テレビに出る自民党議員の方がむしろかっこいいぞ。

1998/6/17

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