キリング・タイム

Killing Time

マレー・スミス / 文藝春秋 / 98/06/10

★★★★

わけのわからないエネルギー相変わらず好調

 『悪魔の参謀』、『ストーン・ダンサー』に続くジャーディン・シリーズの3作目。デーヴィッド・ジャーディンはSIS工作管理本部長になっている。

 このシリーズは、イギリス製のスパイ小説にしては訳のわからないエネルギーに満ちていて、別に傑作というわけではないけれどもなんとなく気にかかる。登場人物たちはイギリスのスパイらしく内省するが、そこにいつまでも留まっていないで行動する。その行動がそれまでの内省とあまり関係のないところが奇妙な印象を与える。

 この本は初心者スパイの通過儀礼ものとして、非常に大胆な設定をしている。一通りの訓練を受けたばかりの初心者が、テロ組織による襲撃を防ごうと、単身ニューヨークに乗り込むのだが、そこで彼が踏み入れる状況は将棋でいえば最初から詰んでいるようなものなのだ。初心者がのっぴきならないはめになるという状況設定としては、かなりのレベルに達していると思う。

1998/6/18

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