科学は今どうなっているの?

池内了 / 晶文社 / 2001/05/30

★★

焦点の絞りきれていないエッセイ集

 著者は天文学者。科学と社会の関わりに焦点を当てた時事的なエッセイを集めた本。

 原発事故、環境ホルモン、地震予知などのホットなトピックへの言及があるものの、非常にあいまいな態度で「警鐘を鳴らす」タイプの文章ばかりで拍子抜けした。新聞記者が書きそうな内容といえばわかりやすいだろうか。

 最後の方に、日本における科学研究、大学教育、大学改革などのトピックを扱った文章が集められているのだが、ここに来るといきなり守旧派の業界人になるところが面白い。宇宙物理学/天文学という、かなり実利とは離れた分野にいることも大きく効いているように思われる。現実の世界との接点が少ないから、社会に与えるネガティブなインパクトも少ないので、社会との関わりが大きい科学技術のネガティブなインパクトについては安心して警鐘を鳴らせる、ということである。

2001/7/12

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