米中戦争

チャイナ・ウォー

Dragon Strike

ハンフリー・ホークスリー、サイモン・ホルバートン / 二見書房 / 98/06/10

★★★

こんな本書いて面白いのか?

 著者はどちらも英国人の記者。2001年、中国が南・西沙諸島を占領し、ベトナムを攻撃する。日本は日米同盟が期待どおりに発動しないことを知り、小笠原諸島の父島でひそかに開発していた核の地下実験を行う。アメリカはヨーロッパ諸国との連合軍を使って中国との戦争を開始しようとするが、最後には核弾頭ミサイルによるMADの状態に追い込まれる、という話。このストーリーを、客観的な、というか、物凄くつまらない文章で綴っている本。新聞記者が書く記事のような文章が延々と続く。

 舞台設定は「リアル」であり、ラリー・ボンドからエンタテインメント指向な描写を抜いたものというべきか。しかし、そのことが原因で深刻な問題が表面化している。たとえば54ページには、日本の総理大臣に対して通産大臣が次のように報告している描写がある。

 ご承知のとおり、日本は石油製品の九九.九パーセントを輸入しています。原油輸入量の約八〇パーセントは南シナ海を横断して中東からやってきます。日本はまたブルネイ、インドネシア、オーストラリアから石油を輸入しています。そのすべてが南シナ海を通過します。

 こんな一大事が起こっているときに、通産大臣が総理大臣にこんなことを言わなければならないような内閣があったら大変である。リアリズムを指向すると、登場人物の間で交わされる会話を作るのが難しいという一例。だいたいこの頃の精神異常者犯罪もののおかげで、FBIからやってきた心理学専門家が地元の刑事にプロファイリングについて説明する場面を飽きるほど読まされた。そろそろ刑事の側もそんなこと知ってるよ、という設定にならないものだろうか。

1998/6/20

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