ブラック・ライト

Black Light

スティーヴン・ハンター / 扶桑社 / 98/05/30

★★★

父と子の関係を軸とした因縁小説

 かなり奇怪な印象を与えた『ダーティホワイトボーイズ』の続編なのだが、後書きを読んで驚いた。このシリーズは、1作目が"Point of Impact"、2作目が『ダーティホワイトボーイズ』、3作目が本書で、4作目に"Time to Hunt"という作品が来るのである。そして、このシリーズを通しての主人公は、本書の主人公であるボブ・リー・スワイガーであり、『ダーティホワイトボーイズ』は傍流のエピソードだったのだ。

 この作品を読んで、『ダーティホワイトボーイズ』の勢いのよさは、それがシリーズの傍流に位置していたことに原因があったのではないかと思った。この『ブラック・ライト』は、そこらそこらに魅力的な描写があるにしても、全体としてみるとかなり陳腐な筋書きなのだ。

 主人公のスワイガーの父親は、1950年代のアメリカ南部の警察官で、職務中に不審な死を遂げる。この謎を40年後に解明するというストーリー。これぐらいの時期のアメリカ南部で法執行官をしている白人が魅力的に描かれる小説を、最近になって数冊読んだ気がする。黒人差別が当たり前の時代に生きた、第二次世界大戦から帰ってきて間もなく、まだ古い価値観を何の疑問もなく持ちえていたまっとうな男、である。これは小説の舞台として大きな鉱脈なのではないだろうか。

1998/6/20

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