焼肉は好きですか?

鄭大聲 / 新潮社 / 2001/07/20

★★★★

小さなネタがいっぱい

 著者の名前はチョン・デソンと読む。モランボンの焼肉のタレ「ジャン」の商品開発に取り組んだという人。朝鮮半島の食文化に関する著作が多い研究者でもある。本書は、焼肉店や韓国料理店のメニューに載っているようなさまざまな料理について、項目別に蘊蓄を傾けるという本。本書の美点は、朝鮮半島における歴史と、戦後の在日コリアンの歴史の両方から、これらの料理にアプローチしているところにある。新聞記者が韓国の料理を紹介する『韓国を食べる』と比べると、こちらはさすがに専門家という感じだ。あと、とにかくこれらの料理が好きでたまらないという著者の情熱が伝わってきて好ましい。

 まあ豆知識はいっぱい入手できます。戦後の在日コリアンが日本の食文化に与えた影響の大きさも面白いが、それよりも前の話も面白い。高知の「かし豆腐」と呼ばれるものが、豊臣秀吉の朝鮮侵略の際に、戦いに破れて土佐に移住してきた朝鮮人が伝えたものであるとか、トウガラシが日本経由で朝鮮半島に入ったのは有名な話だが(おそらく16世紀の朝鮮侵略かそれ以前)、その後の日本の記録に、トウガラシが朝鮮侵略のときに朝鮮から入ってきたものだとして「高麗胡椒」と呼ぶと書かれており、これはトウガラシが経由したのが九州で、本州にはそれまで入っていなかったためである、など。

2001/8/3

TRCの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ