心理捜査

In the Valley of the Shadow

レオナード・サンダーズ / 講談社 / 2001/07/15

消費者をだまそうとするインチキ本

 著者は歴史小説、サスペンス小説、犯罪実話などを書いている人らしい。つまり、読み捨てを前提として売られる低級なペーパーバックの書き手ということで、この翻訳版のタイトルの付け方と帯の文句もそれに見合ったものになっている。『心理捜査』というタイトルは完全に的外れで、「最先端技術を駆使する捜査陣と犯人との息づまる死闘」なんてものは一切存在しない。

 本書で唯一目新しかった要素は、犯人が誘拐してきた少女たちを殺すその手段である。本格推理のトリック論などで、こういうネタもありうるねという文脈では見ないわけでもないが、それをリアリスティックなミステリ小説でまじめに使っているのは初めて見たと思う。ただ、その設定が活かされているわけではなく、非常に低級な意味での「扇情的」なプロットとして使われているに過ぎない。

 その他、誘拐される少女が映画スターであったり、捜査にプロファイラが関与するなどの設定もまったく有効に活用されておらず、出来の悪い映画の脚本のレベル。読む時間の無駄であった。

2001/8/19

TRCの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ