アメリカ政治の現場から

渡辺将人 / 文藝春秋 / 2001/08/20

★★★★

興味深い体験記

 著者は1999年にジャン・シャコウスキー下院議員のオフィスに勤め、2000年にはヒラリー・クリントンの上院選挙と民主党の大統領選挙で「アウトリーチ」局のスタッフとして働いた経験を持つ人。その経験をもとに、アメリカの地方レベルでの選挙活動がどのように行われているかを解説している。

 『ワシントン政治を見る眼』は、ワシントンの「ベルトの内側」の政治力学を解説する本として非常に面白かったが、こちらは地方における地道な選挙活動の実態を知るのに役立つ好著である。著者が担当した「アウトリーチング」、すなわちエスニック・グループごとに票田を確保するための活動が細かく描かれていて興味深い。

 著者の視点がかなり低く設定されているのも面白い。1975年生まれの一介のスタッフの等身大のビューとでも呼ぶべきか。こういう立場から選挙活動を描いた本は、「アメリカの事情を日本に紹介する」という特殊な性質の企画でないと、なかなか成り立たないだろう。もちろんこれは諸刃の剣であって、選挙活動の全体像がわかりにくいし、自らの経験を相対化して、たとえば日本の事情と比較するというような視点もない。

2001/9/16

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