歴史人口学で見た日本

速水融 / 文藝春秋 / 2001/10/20

★★★★★

高品質の啓蒙書

 著者は歴史人口学の大御所。近代的な国勢調査が行われる前の時代の人口動態を、ヨーロッパの「教区簿冊」、日本の「宗門改帳」などの基礎資料を使ってミクロなレベルで解明していくという学問である。日本における歴史人口学の先駆者である著者が、これまでの研究を振り返り、未来の展望を語る啓蒙書。この研究分野そのものが非常に面白いのもたしかだが、本書は特定の学問の一般向けの啓蒙書として非常によく書かれている。自分のこれまでの研究を順番に紹介するだけで、この分野の発展が論理的に説明されてしまうという幸運な境遇にあるせいかもしれないが、いずれにせよ本書は「入門書/啓蒙書一般」というジャンルの中での良書である。具体的な研究成果がそれほど細かくは論じられていないのも、巻末の参考文献へと誘うのにちょうどいい按配になっている。

2001/10/28

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