南太平洋の日々

珊瑚海の彼方から

堀武昭 / 日本放送出版協会 / 1997/05/30

★★★★★

やはり面白い

 この読書メモで取り上げているこの著者の本には、『反面教師アメリカ』『東欧の解体 中欧の再生』があるが、本書は1997年に出版された旧作。この3冊の本は、いずれも「アメリカ/東欧および中欧諸国/南太平洋地域の諸国と20年以上にわたって密接な関係を持ってきた著者が、現地の重要人物および市井の人々との交流と徹底的なリサーチをもとに、過去を渉猟し、未来を見据える」というような宣伝文句を付けてよさそうな内容である。なんで同じ人間が、同じ20年間にわたって、複数の地域とこのような「密接な関係」を持てるのか謎である。ハイパーアクティブな人なのだろう。スケジュール帳を覗いてみたいものだ。

 本書も上の2冊と同様にきわめて面白くエキサイティングな内容。太平洋の島嶼国家が、植民地時代の遺産を抱えてどのように生き延びているかを論じる。国家としての独立を果たしても、先進国からの経済援助に頼らざるをえない実情。インド人が大量に流入したフィジーにおける、文化多元主義の困難。西洋人が太平洋の島国に投影したロマンティシズムの桎梏などがテーマとなる。

 他の2冊と同様に、現地の人たちに温かい共感を寄せながらも、現実の厳しさをしっかりと見据えるという態度が貫かれている。

2001/11/25

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