国際結婚《危険な話》

関陽子 / 洋泉社 / 2001/12/21

★★

全体としてヌルい本

 本書のまえがきによると、1998年の日本人の国際結婚で、最も多いのは日本人男性とアジア人女性の組み合わせで、全体の約70%を占める。日本人男性とアジア以外の国籍の女性の組み合わせは9.2%。残りの約20%は日本人女性の国際結婚だが、その中ではアジア以外の国籍の男性との結婚が54.1%を占める。つまり、日本人女性の国際結婚では、夫が非アジア人であるケースの方が多い。本書はこのカテゴリの国際結婚における「危険」への注意を喚起しようとする本である。ただ、このカテゴリに属する結婚は年間たったの4128件なので、そうとうマイナーな話なのである。

 本書のトーンは、帯の文句が的確に表している。「「日本のオンナは簡単だ!」…こんな"常識"がグローバル・スタンダードだとしたら? 無防備、幼い、社会ルールに無知 夢の先に「コワイ」現実が待っている」。本書のリサーチは主にインターネットを使って行われたようで、メーリングリストの記事やWebサイトからの(しかもソースを明示していない)引用が少なくない。そのことの是非はおいといて、本書はインターネット上のその手の国際結婚関連のコミュニティから相当な反発を受けると思われる(私はそういうコミュニティがどこにどのような形で存在しているのかを知らないけれども)。特異なケースのみを取り出して国際結婚に悪い印象をまとわりつかせようとしているという非難の声が上がりそうだが、それ以上に、『ふざけるな専業主婦!』タイプの、サイバースペース上のコミュニティの非主流派が抜け駆けして書いた本として扱われる可能性がある。実際、著者の議論は、サイバースペース上のコミュニティで国際結婚の危険な面を隠蔽する力が働いているということへの批判から始まっており、すでに前哨戦があったらしいことがわかる。

 著者はたしかに悲惨なケースをいくつか紹介しているけれども、その悲惨なケースの発生頻度がわからないのはかなり致命的。また、いくつかのケースでは、結婚相手が日本人であったとしても、結局は同じほど悲惨な目に遭いそうな女性が取り上げられている。そうでないケースは「恋は盲目」で片づけられそうな気がする。

2001/12/16

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