エシュロン

アメリカの世界支配と情報戦略

産経新聞特別取材班 / 角川書店 / 2001/12/10

★★★★

興味深い

 英語圏の5か国が共同で運用しているという通信傍受システム「エシュロン」に関する基本的な事柄を紹介する本。産経新聞特別取材班によるものだが、新聞の取材班が書いたものとしては非常にレベルが高い内容だった。

 正直言って、私はこの「エシュロン」を的外れな陰謀説と思っていたので、あまり注意を払っていなかった。警鐘を鳴らす人々の間から、あまりに変な議論が聞こえてきていたからである。ありがたいことに、本書は空想的な議論を退けながら、確認できる事実と現実的な推測をきっちりと分けて記述している。もちろん少なからずのアメリカ人が、特に1990年代に入って、アメリカのスパイ活動がSIGINTに偏り過ぎていて、HUMINTを蔑ろにしていると論じてきたことを考えれば、アメリカの通信傍受活動がかなりのレベルに達していたことは間違いない。2001年9月11日のテロ以降、アメリカはHUMINTとSIGINTの両方を強化するだろうから、他の国々が神経質になるのは当然である。

 なお、通信傍受システムという話で、いままでに一番強く印象に残っているのが、近未来の超強力なシステムを描くスタン・リーの『ライブラリー・ファイル』という小説だった。

2002/1/5

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