立花隆「嘘八百」の研究

ジャーナリズム界の田中角栄、その最終真実。

別冊宝島 / 宝島社 / 2002/02/07

★★

鬱陶しい

 別冊宝島Realというシリーズのムック。十数人の執筆者が、立花隆のいろんな側面にケチをつけている。2000年に『立花隆の無知蒙昧を衝く』が、2001年末に『立花隆先生、かなりヘンですよ』が出て、立花隆叩きがOKになったんでみんなでやりましょうという感じが気持ち悪い本だった。

 読んでよかったのは、野田敬生の「ザ・公安妄想 - 新左翼・日本共産党・オウム事件推理を結ぶもの」ぐらいか。立花隆の公安に対する過大評価が的外れな陰謀論を生み出していることを批判する。なおこの人は半田雄一郎のペンネームで『溶解する公安調査庁』を書いた人。

 浅羽通明「立花式「教養」は東大生の「シケプリ」と同じだった!」は、立花隆の教養論が古いと述べ、「現象学から記号論までの二十世紀思想、すなわち、人類の知そのものの限界づけに挑む現代の認識論」を取り入れていないからダメだと言う。私見では、そういうのがないところが立花隆のいいところなんである。また、利点の1つでもある。「現代の認識論」を唱えるジャーナリストに、科学者がまともに話をしてくれるだろうか?

 同じことが小浜逸郎「その脳死論・死体リサイクル論が物語る「おかしな人間観」」、塚原東吾「先端科学をめぐる「立花的科学観」の大時代錯誤」についても言える。これらの文章は、事実上、自然科学者のコミュニティ全体(または大部分)を仮想敵としているのであり、立花隆に対する批判としては的外れである。

2002/1/20

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