仕事のなかの曖昧な不安

揺れる若年の現在

玄田有史 / 中央公論新社 / 2001/12/20

★★★★

熱いのだが

 著者は労働経済学を専門とする学者。タイトルと副題が示唆するように、いまの日本の若年(10代、20代、30代前半)が直面している問題を解説しながら、その当事者たちを奮い立たせようとする、主題に入れ込んだ熱い本である。

 その背景には、いまの日本にこの若年層の人々を弁護する、または奮い立たせるような言説が少なすぎるという判断がある。そこで著者は、「フリーター」とか「パラサイト・シングル」といった若者の(それまでの世代とは異なる)価値観を体現していると言われるような現象を、不況下の日本における職の奪い合いの中で、中高年層の既得権益を守る動きが勝っているために若年に来たしわ寄せとして説明する。著者の提示する処方箋は、「まずは企業で働いて、いろいろとコネを作っておき、しばらく経ってから独立開業すること」という俗っぽいもの。終章とエピローグには、高校に講演に出かけていってそのような内容の話をしようと試みた経緯が描かれている。

 非常に前向きなパターナリズム。しかし、この本を高校生はおろか、20代のフリーターも手にとることはしないだろう。難しいものである。

2002/1/27

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