戦争とプロパガンダ

エドワード・W・サイード / みすず書房 / 2002/02/08

★★★

興味深いが

 著者がエジプトの英字新聞『アル・アフラーム・ウィークリー』に連載している記事の中から、2001年9月11日以降に書かれたものを中心に7編選び、これに9月末に行われたインタビューを追加した、日本独自の企画本。9/11事件の直後に書かれた「集団的熱狂」という文章は、『発言』に収録されている『オブザーバー』誌掲載の「西洋とイスラムの対立ではなく」とよく似ている。連載記事の原文はAl-Ahram Weekly Onlineで読むことができる。

 サイードのパレスチナ解放運動に関連する主張の中で特に興味深いのは、アメリカのメディアのイスラエル寄りの偏向を指摘しつつも、その対処をしてこなかったアラブ側の政権に責任の少なくとも一端を負わせているところである。つまり、この問題を本当に解決するためには、アラブ/イスラムの側が資金を投じてアメリカのメディア上での戦争に参加しなくてはならないという考え方、ひいては「知識人の発言」の効果に対する諦念があるように思われる。

2002/2/25

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