海洋危険生物

沖縄の浜辺から

小林照幸 / 文藝春秋 / 2002/02/20

★★★★

楽しい啓蒙書

 著者はノンフィクション・ライター。私はいままでこの人の本を読んだことがなかったのだが、今後注目しようと思う。

 本書は、主に沖縄近辺に棲息する海の危険生物を紹介する本で、基本的にはレジャーとして沖縄の海を利用する旅行客を対象とした啓蒙書なのだが、それに留まらない怪しさがあちこちにある。たとえば著者は、死者を出しているハブクラゲの毒を、イスラエルの薬品メーカーが出した「SAFE SEA」という名前のローションで防げるかどうかを確かめるために、自ら人体実験を行う。そういえば毒草を食べる『毒草を食べてみた』という本があった。

 最後の章の「食材としての海洋危険生物」では、これらの生物を資源として利用するという発想の転換を追求し、上述のハブクラゲを含めて、本書で取り上げているさまざまな生物を実際に食べている。

 海を好きな人がノンフィクション・ライターとしてのスキルを活かして楽しい啓蒙書を書いたということ。沖縄に海水浴に行く人は目を通しておいて損はないだろう。クラゲ・ネットがこれほど重要であるとは知らなかった。

2002/3/11

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