英国大蔵省から見た日本

木原誠二 / 文藝春秋 / 2002/02/20

★★

若書きか

 著者は財務省の若い官僚。本書は英国大蔵省に派遣されたときの経験をベースにした、政府と役所の仕組みを中心とする日英文化論。

 残念なことに個人的な経験をベースにした話はあまりなく、「リサーチの結果をまとめた報告書」に見える内容。著者は日本の官僚としても経験を積んでおらず、比較のベースとしての日本の官僚組織のあり方について実践的な知識をあまり持っていないのかもしれない。あるいは、本書は官僚向けに書かれた本で、日本の官僚のあり方をあえて書く必要がないと思ったのかもしれない。いずれにせよ比較の部分が弱い。

 著者は英国人の美点(または特徴)の1つとして、外国の仕組みをそのまま取り入れないということを挙げ、返す刀で他の先進国の仕組みを熱心に研究してそのまま移植しようとする日本人を皮肉っているのだが、本書はその意味で非常に日本的な報告書であるように見える。これを克服するためには、英国とは異なる日本の特性が、日本の文化のコンテキストの中でどのようなルーツを持っており、どのように機能しているのかを考察しなくてはならないわけだが、著者のこの点での分析は表面的で面白くない。本人が考える日本人のあり方は非常にステレオティピカルで、さらに悪いことにそのステレオティピカルな像を読者に対して「ね、あなたもそうでしょ」と押しつけてくるという印象を受けた。これがまさに「官僚的」ということなのかもしれないと思ったことだった。

2002/3/18

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