大蔵官僚の復讐

お笑い大蔵省極秘情報2

テリー伊藤 / 飛鳥新社 / 98/07/06

★★★

不思議な本

 シリーズ前作の『お笑い大蔵省極秘情報』を読んだある友人は、あの本に登場してくる大蔵省の官僚のかっこよさにしびれ、自分があの道を選ばなかったことを悔やんでいた。この続篇では、大蔵省のキャリア2人とノンキャリア2人が登場し、前作と同じようにあれこれと話をするが、この2年間に行われたメディアでの反大蔵省キャンペーンの影響が色濃く感じられる内容になっている。

 このシリーズは、『お笑い外務省機密情報』も含めて、官僚がインタビュアであるテリー伊藤を徹底的にバカにしていることに特徴がある。実際、これほど奇妙な印象を与えるインタビュー集は他に見たことがない。ここに登場する官僚たちは、テリー伊藤という人物にどんな批判精神も分析的な知性も実践的な解決能力もないということを知っており、好き勝手なことを言う。官僚の本音が出た、という評価があるのはわかるが、ここに見えている本音はひたすら、自分はテリー伊藤をバカにしている、ということに過ぎない。

 一方、テリー伊藤の側は、それが意図的なものなのかどうかはわからないが、バカにされている自分を公にすることによって、官僚がこのような自分をバカにしている、ひいては自分以外の国民をもバカにしているということを表現する。これほど見上げた芸人根性はめったにないと言うべきなのかもしれない。

 そういう意味では、このインタビュー集はかなり高度なレベルで行われている戦いだと言えるかもしれない。ちなみに、この本に登場したノンキャリアの二人は、そういう高度な戦いを行う余裕がないように見られた。悲惨なことだが、キャリアとノンキャリアの違いはこういうところにも現れたということか。

 しかし、こんな戦いをわざわざする意味はあるのか、どうせインタビューするんだったらもうちょっと生産的な話をしてもいいのではないかということも含めて、奇怪な本だ。

1998/7/7

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