なぜITは社会を変えないのか

Social Life of Information, The

ジョン・シーリー・ブラウン、ポール・ドゥグッド / 日本経済新聞は / 2002/03/25

★★

ビジネス本だった

 著者はどちらもゼロックスのPARCの人。邦題が示しているように、90年代末の「ITが駆動するニューエコノミー」論に対する反論である。私の中では「ビジネス書」に分類されるようなものだった。つまり、「忙しいビジネスマンが速読で読んで、他人との会話の中でファッショナブルなトピックについて標準的な見解を述べるのに役立つような本」。

 批判の対象となるのは、「エージェント」、「リエンジニアリング」、「ナレッジ・マネジメント」、「在宅勤務」など、もっぱらIT論の最初の波が敗退した後に送り込まれてきた第2波であるといってよい。批判の立脚点は、人間同士のコミュニケーションの暗黙の前提を壊すような形でのITの導入はうまく行かない、ということである。ITの最初の波がやってきたときに、(当時は反動的と見なされた)日本人が行った反論と似ているところが多い。たとえば、日本型の職場のレイアウトとか中間管理職の役割とか商社の役割とか、そういったものである。著者らは基本的にこれらの概念を肯定しているので、日本人読者は「何をいまさら」という印象を受けるだろう。まことに流行は儚い。

 なお、翻訳が不安。

2002/4/30

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