風俗営業取締り

永井良和 / 講談社 / 2002/04/10

★★★

風営法の戦後史

 風営法の現代史。第二次世界大戦後の時期を中心に、法律の制定者と執行者が風俗営業というものをどのように理解して対処してきたかを論じている。アカデミックな近現代風俗史研究と、興味本位の風俗ウォッチの間の橋渡しをしようという意図が感じられ、最後の方ではインターネット上での風俗営業といったコンテンポラリーなトピックにも目を配っている。

 法の制定と執行の背後にある態度とロジックを摘出するというアプローチで、囲い込みとか監視の視線などの概念が興味深いものの、こういう風に整理されていると、そこから何が抜け落ちているのかが気にならないでもない。

 筆者は、通信技術の発達に支えられて無店舗型の営業形態が増えるにつれ、物理的な囲い込みのアプローチが無効になるという流れを描いてみせる。ところで日本のこの手の囲い込みは、欧米の多くの国と比べるとずっと緩やかである。これらの国から来た人々は、セックス関連産業が町の中に公然と存在していることに驚くことが多い。また、週刊誌とか夕刊紙にポルノグラフィーが載っていて、それを人々が平然と電車の中で読むということへの驚きもよく表明される。私はこのリベラルな態度が青少年教育に役立っていると思っているのだが、それはともかくとして、インターネットが与える衝撃は、少なくともこの方面においては、日本よりも囲い込みが徹底している国々においてずっと大きいと推測できる。

2002/5/10

TRCの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ