イルボンは好きですか?

韓国新世代からのメッセージ

山田ゆかり / 朝日ソノラマ / 2002/04/30

意味なし

 帯には「韓国人のリアルな日本観 ごくふつうの女子高校生から性転換タレント・ハリスまで75人の若者に密着インタビュー」とあるのだが、75人のうちの70人近くについては、「Q: 今持っている日本製品は? -> キャラクターグッズ」(162ページ、キム・ミンソンちゃん)というようなQ&Aが13項目あるだけ。そして、詳しい話を聞いている8人は、兵役拒否している19歳男とか、韓国初の性転換タレント(男->女)など、この人に日本のこと聞いてどうすんのというような人か、「新世代カルチャーの仕掛け人」だ。読むのがつらい本だった、というか、ほとんど読み飛ばした。「Q: 将来の夢 -> ボディービルダーと警察官」(151ページ、ヤン・スンウ君)みたいなのに真面目に目を通していられない。

 まあ企画の意図はわからないでもない。ポスト民主化の現代型消費世代に属する「韓国新世代」の若者たちは、日本製品と日本文化を好んで消費していて、でも反日のセンチメントはいまだにあります、ということを言いたいのだろう。とうぜんながら私は1960年代頃の日本人を連想するわけだが、そのときのアメリカにはベトナム戦争というわかりやすい悪のシンボルがあった。韓国人の反日のセンチメントは果たして持続しうるのだろうか。

 なお著者は巻末のエッセイで、『好きになってはいけない国』と似たような「韓国と日本の温度差」について述べている。私の感想も同じで、要するに、韓国と日本に温度差があるのは当たり前だ、ということだ。

 なお、このインタビュー、誰が質問項目を考えたのか、また誰がどのように質問したのか知らないけれども、奇怪な印象を与える部分があった。「Q9: 日本人に見せたい韓国の姿(文化、イメージ、現状)は?」、「Q10: 日本人に見せたくない韓国の姿(文化、イメージ、現状)は?」、「Q11: 日常生活のなかで、どんなときに日本を思い浮かべますか?」などの項目である。これらの項目で、「日本」と「韓国」を入れ替えて、日本人を対象にアンケートをとるということはちょっと考えられない。また、「日本」を「アメリカ」に、「韓国」を「日本」に置き換えて、日本人を対象にアンケートをとるということも、たぶん1980年代以降はありえない。結局、このインタビューそのものが「韓国と日本の温度差」に立脚し、それを強化する働きをしている、ということにならざるをえないと思う。まあ深くつっこむのはよしておこう。

2002/6/3

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