世界を不幸にしたグローバリズムの正体

Globalization and its Discontents

ジョセフ・E・スティグリッツ / 徳間書店 / 2002/05/31

★★★★★

面白い内幕暴露もの

 ジョセフ・E・スティグリッツは1997年に世界銀行に入り、チーフ・エコノミスト兼上級副総裁という立場で働いた後に、2000年に辞職した(著者の世界銀行在籍中の講演と文章)。その前には1993年からクリントン政権下の経済諮問委員会で働いており、1990年代後半のグローバリゼーションの拡大といくつかの経済危機の時期に実務家として活動したということになる。本書はそのような活動を辞めたあとに書いた、もっぱらIMFとアメリカ財務省とWTOを批判する内幕暴露本といってよい。特に自分のフィールドだった経済開発に対するこれらの機関の無理解を手厳しく批判している。

 経済のグローバリゼーションが悪いと言っているのではなく、これらの機関が発展途上国に性急な市場主義を押しつけているために、かえってそれらの国の経済を破壊していると述べている。これらの機関がなぜそんなことをするのかという点については、「ワシントン・コンセンサス」の陰謀説よりも、バカ官僚説を採用しているようだ。

 東アジアとロシア、そしてアフリカのいくつかの国についての細かい記述が興味深い。資本の自由化に強く反対しているところはジョージ・ソロス(『グローバル資本主義の危機』)と同じで、アジア危機におけるマレーシアの行動を高く評価しており、どうやら時代は一巡するのかもしれない。ジョージ・W・ブッシュ政権下でのアメリカは、経済の後退を背景に、保護貿易色が強くなっているという印象があり、ここにスティグリッツのお墨付きが出たということになれば、1990年代後半の一連の経済危機に遡ってアメリカの責任が認知されるようになるのかもしれない。

2002/6/10

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