ネクスト・ソサエティ

歴史が見たことのない未来がはじまる

Managing in the Next Society

ピーター・F・ドラッカー / ダイヤモンド社 / 2002/05/23

★★★★

まあ普通

 ドラッカーの新刊。英語版は現時点でまだ出ていない。

 少子高齢化に伴う社会構造の変化、ナレッジ・ワーカーの抬頭とそれに伴う職場環境の変化、そこから出てくるNPOの重要性など、ドラッカーの考える"the Next Society"のあり方とそこでの人間の生き方についてのエッセイ集。1997〜2001年にかけて、9.11事件よりも前に書かれたものが大部分である。

 特にどこが新鮮というわけでもないのだが、さすがに長く生きてるだけあって、短期的なスパンの変動を相手にせず、悠然と構えている。こうやって翻訳されて活字になったものを読むだけでも、智慧者、予言者としての迫力はそうとうなものだ。「ニューエコノミー」(という幻影)を論じる枕として、冒頭から「私自身一度だけ、経済が変わり、新しい経済が生まれたと思ったときがあった。一九二九年に、アメリカの証券会社のヨーロッパ本部で新米社員として働いていたときだった」と書かれては、頭を下げて御高説を拝聴するしかないではないか。

 でまあ、その人が「次の社会」についていろんなことを書いている、と。

 特に興味深かったのは、NPOをかなり重視していることだった。これには、政府と企業が提供できないコミュニティ指向のサービスを提供する組織として、そしてナレッジ・ワーカーが所属するコミュニティそのものとしての2つの側面がある。第IV部、第4章の最後の部分から引用する(273ページ)。

なぜならば、誰もが自由に選べるコミュニティが必要となるなかで、NPOだけが、教会から専門分野別の集団、ホームレス支援から健康クラブにいたる多様なコミュニティを提供できるからである。しかもNPOだけが、もう一つの都市社会のニーズ、すなわち市民性の回復を実現しうる唯一の機関だからである。NPOだけが一人ひとりの人間に対し、ボランティアとして自らを律し、かつ世の中を変えていく場を与えるからである。

 この背後には、流動性の高い労働力となり、職場が帰属先となりえないナレッジ・ワーカーが爆発的に増えた社会において、そのような人々は何らかのコミュニティを必要とするようになるというロジックがある。

2002/6/17

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