あんな上司は死ねばいい

Cold Caller

ジェイソン・スター / ソニー・マガジンズ / 2002/08/20

★★★

翻訳が問題なのか

 1999年に発行された『上司と娼婦を殺した僕の場合』というタイトルの単行本が改題され、文庫化されたものを読んだ。著者のジェイソン・スターは本作がデビュー作。

 サイコパスの主人公の一人称小説。『Pursuit』の項に書いたように、サイコパスの一人称描写は非常に難しいのだが、本作はそれにかなりのていど成功していると言っていいと思う。主人公は広告会社から解雇され、仕方なくテレマーケティングの会社でテレマーケターをやっている男。その男の視点から、サイコパスの主観的状態(とされているもの)を描くのが主眼の小説であり、物語そのものには大した意味がない。

 つまり、本作は描写と文章が売りの「文学」なのである。本書の翻訳が特に悪いというわけではないが、このタイプの小説はやはり翻訳バージョンでは評価しにくい。というわけで判断不能ということにしておく(というか、要するにこの訳本を読んだ限りではあまりぴんと来なかったということ)。

 なお、元の日本語タイトル『上司と娼婦を殺した僕の場合』はあまりにひどいネタバレ。

2002/9/1

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