日本発見

ステラン・ダニエルソン / アミューズブックス / 2002/09/10

★★

外人は得よのう

 著者のステラン・ダニエルソンはスウェーデン人。カメラマンとして2002年のサッカーのワールドカップを取材しに日本にやってきたときの旅行記。翻訳本ではあるが、いわゆる「原書」は発見できなかった。内容から見ても、最初から日本マーケットを狙った企画であると思われる。

 『喪失の国、日本』以来、「外国人が日本について書いた本の訳書」が本物なのかどうかが気になって仕方がなくなった。本書はその意味では本物なのかもしれないが(Googleで検索しても、Stellan Danielsonという名前はまったく見つからなかったが)、次のような文章の「原文」がどうなっていたのかが気になってしかたがない(100ページ)。

今朝の朝食は8種類の料理が出た。これは新記録だ。私が想像しうるかぎりのものはすべて出た。うな丼、ほうれん草のごまあえ、エノキのおひたし、かぼちゃのそぼろ煮、カツ丼、きゅうりのお新香、りんごとキウイ、ミルク。

 こういうのと、「スウェーデン人が初めて日本に来て、風習の違いに驚きました」というタイプの記述との整合性がないのである。もちろん翻訳が下手で、リライトが過剰だったという可能性は十分にある。

 内容についての感想はといえば、「やはり外人は得だ」というものだ。スウェーデン人という立場は、いまの日本でもきわめていい感じの「外人」である。カンボジア人の日本旅行はまずこうは行かないだろうと思われる楽しいエピソードが満載。とうぜんながら、著者は「日本は素晴らしい、いいところがいっぱいある」と誉めている。日本がマーケットなんだから当たり前のことではあるが、その視点があまりにも陳腐なのが、偽書説の傍証の1つとなる。まあどうでもいい。

2002/10/8

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