「影」の爆撃機

Warrior Class

デイル・ブラウン / 二見書房 / 2002/10/25

★★

末期的症状

 デイル・ブラウンの著作は、他に『レッドテイル・ホークを奪還せよ』『頭上の脅威』を取り上げている。訳書の出版元が早川書房から二見書房にかわってからも、いちおう本は買っていたのだが、読み通すことができず放置していた。本作は久しぶりにけっこう無理して最後まで読んだ。

 シリーズとして話はずっと続いており、いくつか凄い新兵器が登場していた。それらの新兵器が強すぎて、危機が作り出せないという末期的症状になっている。たとえば本作には、銃弾を兵器で跳ね返し、超人的な跳躍能力を作り出すボディ・スーツが出てくる。こんなものが出てきてしまうと、敵の側にもそれ相応の兵器を用意してあげないと、あらゆる戦闘が一方的ないじめになってしまう。

 ただし、これは程度の差はあるとしても、現在の米軍の実情を反映していると言えるだろう。自分が強すぎて、敵が弱すぎるのである。このタイプの戦闘を中心にした軍事スリラーは、何か新しい枠組みを開拓しないとかなり厳しい時代を迎えたと言える。

 その他、ストーリーの組み立て全般にも説得力がない。デイル・ブラウンは一時期はまともな軍事スリラー作家の1人として注目していたのだが、もう今後はフォローしないかもしれない。

2002/10/20

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