アポロは月に行ったのか?

Dark Moon - 月の告発者たち

Dark Moon: Apollo and the Whistle-Blowers

メアリー・ベネット、デヴィッド・S・パーシー / 雷韻出版 / 2002/10/08

うーむ不完全燃焼

 アポロが月に行っていないという陰謀説は、かつて一度流行ったのだが、2001年2月にFOXで陰謀説寄りの番組が放映されるなど、このところなぜか関心が再燃しているようだ。日本でもFOXのものをベースにした番組が放映されて注目を集めたとのこと。

 このタイプの陰謀説では、宇宙飛行士たちは月面に着陸しておらず、テレビ中継された映像は映画『カプリコン1』のように地球上のスタジオで撮影されたものだとする。なぜそんなことをしなくてはならなかったかというと、冷戦下での宇宙開発競争におけるイメージを良くするためである。

 私は陰謀説一般が好きで、どんなものでもいちおう一度はopen-mindedに受け入れる用意があるのだが、本書の内容はあまり楽しめなかった。陰謀説としてあまり出来がよくないというか、「お〜、そういう見方もできるな」という新鮮な驚きに乏しいのである。本書を読んで「もしかしたら?」と思ってしまった人は、以下のサイトを参照するとよい。

NASAの月探査関連のサイト

月探査ステーション。日本の宇宙開発事業団などが中心となって作っている情報サイト。ご丁寧にも陰謀説に対する反論のページが用意されている。

FOXの番組に対するコメント。番組の内容に関する反論。

 また、この翻訳書はおそらく抄訳である。これはamazon.comにあるレビューを読んで気づいたのだが、原書のページ数は568ページで、火星表面の顔、ストーンヘンジ、ミステリー・サークル(crop circles)、UFO、エイリアン・アブダクション、ロズウェル事件などについての言及もあったようだ。つまり、本書はUFO寄りのオカルト本であるが(科学的なアプローチをしているUFOコミュニティもあることに注意)、翻訳書はオカルトっぽい内容を省略して、本全体のニュアンスを意図的に変えているのだと思われる。なお私には、原書を買って確かめる気力はない。

 日本のマーケットに合わせた翻訳本を作る、という言い方は耳に心地よいかもしれないが、私はこの習慣を好ましいものとは思っていない。特にこのケースは、日本の読者と著者の双方を裏切っているように見える。

2002/11/11

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