L.A. Requiem

L.A. Requiem

ロバート・クレイス / Ballantine Books / 1999/01/01

★★★★★

かっこよく、美しいハードボイルド

 『破壊天使』を大いに気に入ったので、ロバート・クレイスの本を読んでみることにした。本書は1999年に出版されたもので、私立探偵エルヴィス・コール・シリーズの8作目にあたる。邦訳は出ていないようだ。続けて読んだシリーズ外の『Hostage』の項も参照。

 私は本シリーズの過去の作品を読んでいないか、読んでいても忘れてしまっているので、全般的な話はできないが、amazon.comの読者レビューを見ると、本作はシリーズ内でもシリアスな部類に入るらしい。物語は、主人公のエルヴィス・コールのパートナーかつ友人であるジョー・パイクの過去と現在が絡み合いながら進行していく。ジョー・パイクのかつての恋人カレン・ガルシアが何者かによって殺害され、その父親がパイクとコールに調査を依頼する。

 正統的なハードボイルドの傑作。エルヴィス・コールのユーモラスな語り口と、徹底的にクールでタフなジョー・パイクの人物描写の対照が、それぞれを好ましく見せることに成功している。ジョー・パイクはちょっと非現実的なぐらいにタフな男として描かれるが、物語が進むなかで、彼がなぜそんな気質を身につけてしまったのかがわかるようになっている。その内面は超ロマンティックである。

 これは前からの持論なのだが、ハードボイルドは男性向けロマンスなのだ。謎解きとしても手順小説としても一級品、アクションの場面も素晴らしく、しっかりと泣かせてくれる。

2003/1/6

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