アメリカがアジアになる日

Asian American Century,The

ウォレン・I・コーエン / 草思社 / 2002/09/12

★★★

ちょっと散漫か

 著者はメリーランド大学の歴史学教授。本書はハーヴァード大学で行われた講演の記録。

 第一章は19世紀末から20世紀末までの東アジア情勢を国際政治学の観点から論じ、第二章は東アジア文化の「アメリカ化」について論じ、第三章はアメリカのアジア化を論じている。講演録なので、さまざまな話題を広く浅くとりあげた概論のようなものになっている。全体としてきわめて楽観的であり、アジアのアメリカ化とアメリカのアジア化を肯定的に捉えている。

 序文には、1960年代末にはベトナム戦争の影響もあって、アメリカ人の間に東アジアへの強い関心があったのに、20世紀末にはそれが薄れ、ヨーロッパに目が向けられているという苦情が記されている。アジアを専門とする学者にとっては嬉しくない状況なのである。だからこそ、アジアとアメリカの関係はますます強化されており、それは良いことであるということを宣伝しなくてはならないというわけだ。

 東アジア文化のアメリカ化については、「文化帝国主義」の批判に対し、アジア文化はアメリカ/西洋文化を咀嚼した上で変更/修正して取り入れているのだから、肯定的に捉えるべきだと述べる。アメリカのアジア化を論じている第三章は、これを補強するための議論であるともいえなくない。アメリカもこれほどアジア化されているのだから、対称的な関係が成立しているじゃないか、ということである。

2003/1/6

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