古代文明の謎はどこまで解けたかI

失われた世界と驚異の建築物・篇

Ancient Mysteries

ピーター・ジェイムズ、ニック・ソープ / 太田出版 / 2002/07/05

★★★★★

バランスのとれた古代文明本

 著者のピーター・ジェイムズは古代史と考古学を専門とするライター、ニック・ソープは先史時代のヨーロッパを専門とする考古学者とのこと。本書は原著の1〜3章を訳したもので、残りの章もシリーズとして出版する予定であると書かれているのだが、まだ出ていないようだ。

 オカルト的な「超古代史」のジャンルで言及されることの多い事柄を、科学的なアプローチで解説する本。第1章「失われた世界とカタストロフィ」ではアトランティス大陸、ソドムとゴモラ、古代地図、マヤ文明などを扱っている。第2章「空を見つめて」では巨石時代の天文学、ピラミッド、太陽の静止、ベツレヘムの星などを扱っている。第3章「驚異の建築技術」ではストーンヘンジ、ピラミッドとスフィンクス、ティアワナコ、イースター島などを扱っている。

 私はCSICOPなどの"skeptical inquiries"の態度が基本的に嫌いなのだが、本書はバランスのとれた良い本だった。ただし私は本書の仮想敵である『神々の指紋』などのグラハム・ハンコックの本をいっさい読んでおらず、関心も持っていないので、少々バイアスが入っているかもしれない。訳註によれば、本書の記述にはハンコックの主張を勘違いしている部分がないわけでもないようだ。残念ながら、こういうものを細かく検討する気力と体力が私には残っていない。こうやって人は無責任になっていくのだな、と思ったことだった。

 訳者はあとがきで、この著者らを「スケプティックなフォーティアン(Fortean)」に分類することを提案している。フォーティアンとはアメリカの変人チャールズ・フォートから来た名前。奇妙な現象を記載し、それに対して誠実な知的取り組みを行う人々のことをこう呼びたいとのこと。私としては"skeptic inquiries"という言葉そのものに、こういう属性があって欲しかったのだけれども、残念ながら世の中のskepticsには知的な誠実さを犠牲にして大衆啓蒙を優先する人が多すぎる。

2003/1/6

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