書かれたらそれまでよ日誌

講談社『Views』一九九七年一月号の間違い記事に対する空しい抗議の記録

疋田桂一郎 / 青幻舎 / 98/07/05

★★★

書けば書くほど正体を露にするという感あり

 『新聞が面白くない理由』に収録されている、講談社の月刊誌『Views』に掲載された、朝日新聞社の記者に対するリクルートのスキー接待疑惑に関する記事に抗議することを目的として書かれた本。

 岩瀬達哉は、朝日新聞の記者数名が、リクルートの経営するスキー場で事実上の接待を受けたという記事を書いたが、(匿名ながらも)批判された者の一人である疋田氏は、接待を受けたという認識がない。そこで岩瀬氏と『Views』の編集長に対して抗議の手紙などを送るが、まともな反応が得られず、一連の経緯と自らの言い分をこうやって本にしたということのようである。

 一緒にスキーに行った本多勝一が、この件で、『噂の真相』と気まずい関係になっていることは周知のとおり。

 で、この本であるが、疋田氏がリキんで書けば書くほど、朝日新聞の記者としての驕りが見えてしまう、というまとめ方でいいと思う。事実関係に関する見解の食い違いはともかく、本質的には、「接待とは何か」ということに関する認識の共有を、岩瀬氏と『Views』編集長に対して、ジャーナリスト仲間であるという共犯関係を通して訴えるという構造になっているわけで、『新聞が面白くない理由』という本の中に当該記事を収録するような活動をする岩瀬氏が、そのような共犯関係に参加したくないと思うのは当たり前のことだろう。

 「あとがき」にある、元常務である青山昌史に対するインタビューのやり取りは、こんなものが平然と印刷されていることが信じられないほど品が悪い。この本は全体として、疋田氏の側の評価をかえって下げる効果しか持たなかったといえると思う。

 ただし、この本から通して見える岩瀬氏と『Views』の編集長の行動も、完全に納得できるものではない。彼らの言い分はそれなりにあるのだろう。特に、問題の記事が掲載された号の広告の掲載を、朝日新聞に拒否されたという経緯を考えると、疋田氏らのアプローチにまともに応対する気をなくしたとしても全然不思議ではない。そのニュアンスをまったく考慮に入れていないように見えるのは、疋田氏の側の傲慢さの現れの一つなんだろう。

1998/7/17

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