バイアグラ

驚異の新薬

Viagra: The Potency Promise

ラリー・カーツェンスタイン / 三田出版会 / 98/07/30

★★★★

バイアグラの解説

 Viagraの性質や意味合いに関する基本的な事柄を記した解説本。著者は医療ジャーナリスト。味もそっけもない実用書ではあるが、パートナーとの通じ合いこそが大切なのだ、などと強調するところがかわいらしい。

 1992年、イギリスのファイザー社は狭心症の治療薬としてのクエン酸シルデナフィルの効果を調べる臨床試験を行った。この薬品は狭心症にはあまり効果がなかったが、男性の勃起不全を大きく改善した。ファイザー社はこの薬にViagraという名前を付けた(vigorとNiagaraから)。薬は1998年3月27日にFDAによって認可され、爆発的な売れ行きを示した。

 Viagraのメカニズム(83ページあたりから)。ペニスの勃起を持続させるサイクリックGMPを分解するPDE5(ホスホジエステラーゼ5型)と結合することによって、サイクリックGMPの分解を妨げる。このPDE5という酵素は、ペニスの中に特異的に存在している。これと似たPDE6が眼の中にもあるため、視覚の一時的な障害という副作用が出ることがある。

 新しいメディアがポルノグラフィーの流通によってメインストリームになる準備をするように、性機能障害(sexual dysfunction)が飲み薬によって簡単に「解消」されてしまうという知識は、人間の身体(および心)の機械的な理解の促進に貢献するだろう。『犯罪に向かう脳』のような人間観の前段階である。こういうことは観念として理解されるのではなく、このような実践的な体験によって徐々に馴らされていくものなのだ。

1998/7/17

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