もうひとつの日本

韓国外交官が見た日本の素顔

金成珪(キム・ソンギュ) / イースト・プレス / 98/07/05

★★★

ちゃんとした翻訳書でない中途半端さ

 韓国の駐日外交官が書いた本を日本語に翻訳したものなのだが、日本語への翻訳にあたって、削られた部分と加筆された部分があるようで、その結果として本の性質がよくわからなくなっている。できれば、韓国で出版されたものを完全な形で翻訳出版してもらいたかった。

 それでもはっとさせるところはいくつか残っている。たとえば85ページで、県花とか県のシンボル・マークなどが制定されていることを紹介した文章。

言うまでもなく、このような地元のシンボル制度は郷土に対する地域民の共同体意識と郷土愛を高揚させ、これから成長する子供たちに自分たちが住んでいる土地に対する愛郷心とプライドを植えつけることは、彼らが成長したのち、地元を守り、発展させる推進力になろう。日本の若者が並みはずれて愛国心が強く、韓国と違って今でも農村には故郷を守る若者が少なくないことも、このような制度と無関係ではないかと思う。[原文ママ]

 このように、この本はいろいろな面で「先進国」となっている日本の、特に地方自治という面を取り上げて、韓国の後進性と比較し警鐘を鳴らすという趣旨の本なのだ。このイースト・プレスという出版社は、『日本人が書かなかった日本』もそうだったが、きわめて目のつけどころが良いと言うべきだろう。できるなら、今後は、アジア各国で書かれて出版されている日本論を、完全な形で翻訳して出版してほしい。

1998/7/25

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