チンパンジーが話せたら

If a Chimpanzee Could Talk and Other Reflections on Language Acquisition

ジェリー・H・ギル / 翔泳社 / 98/05/30

★★★★

驚くべき研究の紹介

 言語の習得というトピックを、いろいろな側面から論じたエッセイ集。一番重要なのは、第1章の、チンパンジーを使った実験研究の紹介である。その他はあまり意味がないかも。

 この研究は、Garder R. and B. Gardner. "Teaching Sign Language to Chimpanzees." Albany: SUNY Press 1989。

 チンパンジーに手話を教えたところ、普通の意味での言語活動としか思えないような使い方をするようになったとのこと。とても感動的。

 この本では紹介されていないが、イルカについても、目的語を2つ取るような文法を理解できるという証拠がある。チンパンジーとイルカという、進化の系統樹の上でかなり離れた位置にある2つの種が、人間の使っている言語のおそらく最も基本的かつ本質的な部分を理解し、習得しうるのだ。これはとんでもなく刺激的な事実であるようにも思えるし、当たり前のことのようにも思える。存在しうる言語は、われわれが知っている言語ただ一つなのか、他に本質的に翻訳不可能な言語が存在するのかという問題にかかわってくる話である。

 その他の章、「オオカミに育てられた子供」、「ヘレン・ケラーのケース」、「自閉症の子ども」、「心理言語学の見方」、「異文化の理解」、「言語と現実 - ベンジャミン・リー・ウォーフの研究」、「出発点」。

1998/7/30

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