哲学の最前線

ハーバードより愛をこめて

冨田恭彦 / 講談社 / 98/06/20

★★★

何の意味もない対話形式

 アメリカの現代哲学の入門書。ハーバード大学客員研究員の、生島圭という39歳の日本人が、同僚の客員研究員やハーバードの学生たちを相手に説明していくというスタイルをとっている。「はじめに」ではこれを「小説体」と呼んでいる。

 しかし、これがまったく機能していない。話し相手のバックグラウンドや性格によって、語りの流れが変わるというような仕掛けがしてあるのかと思うと、そうでもない。登場人物たちはやたらコーヒーを飲むが、それが何か意味を持つかというと、そういうわけでもない。

 こういうスタイルに何か意味があると思った著者と編集者は、いったい何をどう勘違いしたのだろうか? それとも単に小説家としてのスキルがないということに過ぎないのか? マンガを使った啓蒙書というカテゴリを思い出したが、要するにそれなのか。たぶんそうなんだろうな。

1998/7/30

TRCの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ