官僚の官僚による官僚のための日本!?

宮本政於 / 講談社 / 96/07/20

★★

アメリカでの講演を中心にした講演集なのだが

 著者が1995年頃に外国人を対象に行った講演をもとに作られた講演集であるが、掲載にあたって手が加えられているため、本当のところ何をいったのかがわからない。「内々の恥をどのように外にさらしたのか」というところが気になる読者にしてみると不満である。

 この「元厚生省検疫課長」の書くものを見て思うのは、率直にいって、あまりにもナイーブだということだ。どういう経緯があってのことかよくしらないが、中年にもなって厚生省で働き始めたら、摩擦が起こるのは当然だということは、ふつうの日本人ならば誰もが知っていることである。だからそういうところでは働かない。あるいは最初から承知の上で働く。したがって、そういう摩擦がこのような形で堂々と公けになることはない。そういうループをいっときでも破壊してくれた宮本氏はしたがって非常にありがたい存在なのだけれども、残念なことに彼が行う主張のベースは精神分析なので、その点で再び困ってしまう。彼が疫学者だったら、あるいは遺伝子学者だったら、せめて普通の精神医学者だったらどうなっていたかと考えるのは興味深い。

1998/8/30

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