明日なき二人

Bordersnakes

ジェイムズ・クラムリー / 早川書房 / 98/08/31

★★★★★

不思議なスピード感

 ミッチェル・スミス、フィリップ・カー、アンドリュー・ヴァックスといった中堅ハードボイルド作家たちが堕落していっているいま、ジェイムズ・クラムリーは健在だった。この本は、ミロ・ミロドラゴヴィッチとC・W・シュグルーという二人の主人公格が共演するという趣向の本で、訳者あとがきにもあるように、こうやって同じ本に登場すると、この二人がずいぶんと違う人間であることが明らかになる。

 しかし、この本のスピード感はいったい何なんだろう。オフ・ビートな小説という感じはあるのだけれども、実際に主人公たちが物事を経験したり車で移動したりするスピードは、他の小説とは比べ物にならないほど高速である。まあ要するに省略が多いのだけれども、個々の事件の描写が薄くて不満になることは決してない。不思議だ。

 巻末の著作リストより。

長篇ミステリ

The Wrong Case 1975 『酔いどれの誇り』

The Last Good Kiss 1978 『さらば甘き口づけ』

Dancing Bear 1983 『ダンシング・ベア』

The Mexican Tree Duck 1993 『友よ、戦いの果てに』

Bordersnakes 1996 『明日なき二人』

The Final Country 1999(予定)

短篇集

Whores 1988 『娼婦たち』

短篇・限定出版

The Mexican Pig Bandit 1998

その他

One to Count Cadence 1969 『我ひとり永遠に行進す』

1998/9/6

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