勝負の分かれ目

スーパースターたちの苛酷なドキュメント

The Breaks of the Game

デイヴィッド・ハルバースタム / サイマル出版会 / 84/01/01

★★★★

素晴らしいノンフィクション

 1981年に書かれた、ハルバースタムの(なんと!)3作目である。1979〜80年のシーズンに、ポートランド・トレイルブレイザーズを同行取材し、このチームの関係者たちを中心にいろいろなエピソードを紹介している。これは気のせいかもしれないが、これよりも後の彼の著作ほど、構成がきれいではない。描かれる時期も人物も頻繁に切り替わるし、それを合理化する理由が見て取れない。しかし、それでもこれは非常に面白い、重要な著作である。

 1979〜80年のシーズンは(なんと!)ラリー・バードとマジック・ジョンソンがNBAにデビューした年である。1998年の時点から見ると、バードとジョンソンはすでに3世代ぐらい前のプレイヤーであるから、その彼らがデビューした年なんてのは歴史上の大過去なのだが、アメリカ現代史一般のなかに置いてみると、これは実のところ十分に現代なのであった。

 このときすでに、NBAの選手の給料が高い、プレイヤーがわがままである、TVの影響が大きすぎるなどの問題が出現してからかなりの時間が経っていた。この『勝負の分かれ目』では、こうした問題が、どちらかといえばプレイヤーに対して同情的な立場から取り上げられている。にしても、この時点で「高い」とされていた給料の額が、いまのNBAではまったく問題にならない額であるという点にある種の感慨を覚える。

 この本では(1981年の時点から見た)過去の歴史についても、ある程度遡って言及しており、1981年の時点での観測記録という意味で興味深い。しかしそれだからこそ、1998年の時点での、これに匹敵するような観測記録と、もっと包括的な歴史の記録の2つを読みたいという気持ちにさせられる。その意味では、この本はよっぽど特殊な動機がある人でないと楽しめないかもしれない。

 翻訳になぜだか信頼が置けない。原文と対照したわけではないのではっきりしたことは言えないのだが。

1998/9/11

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