碁打ち・将棋指しの江戸

「大橋家文書」が明かす新事実

増川宏一 / 平凡社 / 98/07/20

★★★

かなりマニアックな本といえるのでしょうか

 関西将棋会館に所蔵されている大橋家文書の研究を通して発見された新事実を紹介する本。大部分が、実際に残っている日記などの内容の紹介である。問題の焦点は、江戸時代の将棋・囲碁の名家が、当時のシステムの中でどのような地位にあったのかということで、この本では、彼らの立場がいままで言われてきたほど安定したものではなかったことが論証されている。

 平凡社が普通の本のふりをして出すにしては、あまりにマニアックで整理不足の感が否めないのだけれども、興味深い内容であることは確かだ。著者には他にも『碁打ち・将棋指しの誕生』、『将棋の起源』、『賭博の日本史』などの著書があるので、そっちの方を読めばいいことなのかもしれない。江戸時代の封建制度の中で、将棋と囲碁の名手(と名家)に特権的な地位が与えられていたことの比較文化学的な分析なんて面白そうなんだが、そういうことは他の本に書いてあるんだろう。で、この本は、実のところそのような特権的な地位は、それほどのものではなかったという指摘なので、まあこういう感じになるのも仕方がないんだろう。

1998/9/11

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