すべて死者は横たわる

All The Dead Lie Down

メアリー・W・ウォーカー / 講談社 / 98/09/15

★★★★

いくぶん不満が残る

 新聞記者のモリー・ケイツ・シリーズの3作目。この作品で、モリー・ケイツは父の死の真相を知る。

 前作の『神の名のもとに』があまりにも素晴らしかったので、この平凡さは拍子抜けだった。しかし思い返してみると、1作目の『凍りつく骨』も、2作目の『処刑前夜』も、別にとりたててどうという小説ではなかったのだ。3作目の『神の名のもとに』だけが突出していたということなのだろうか。

 たまたま『スズメバチの巣』の後に読んだこともあるのかもしれないが、メアリー・W・ウォーカーが小説を書く前に作るであろうプロットが貧弱に思えてくる。コーンウェルの登場人物たちの無軌道な行動と比べると、ウォーカーの登場人物たちの行動は、作者があらかじめ作った論理的な経路をたどって、一定の結末に向かって進んでいく、というような印象を与えざるをえない。そのような不自由さを打ち破れるだけの細部があるかどうか、ということなんだろう。それが『神の名のもとに』にはあったんだろう。

 モリー・ケイツ・シリーズというシリーズものとして考えると、この作品は、ついに父の死の真相を知ったという重要な転回点に相当するものになると思われる。しかし、ふと気づくと、私はモリー・ケイツがどうなろうが別にどうでも構わないと思っている。

1998/9/19

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