ことばが招く国際摩擦

鳥飼玖美子 / ジャパンタイムズ / 98/08/05

★★★★

興味深いが、少し物足りないか

 著者は以前は通訳をやっていた人。通訳や翻訳の結果としてまずい事態が生じた例を紹介するという趣旨。いろいろな事例と文献が載っているのでリファレンスとしてよい。

 一つ新たな発見。中曽根首相の「不沈空母」発言について(42ページから)。中曽根は日本語では「大きな航空母艦」であると言ったのだが、それを通訳者が"unsinkable aircraft carrier"と訳していた。最初の記事を掲載したワシントン・ポストは訂正記事を出した。その際に中曽根首相にも通知が送られた。そのため、「中曽根氏サイドからは感謝されたようで、その後、中曽根氏から紹介されたという日本からの来客が次々と訪れるようになりました」。私には、中曽根氏がこの件を宣伝したという記憶はない。そうすると、なかなかの狸ではないか、と思った。

1998/10/13

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