事件、わたしの場合

Sex Crimes

ジェニファー・シュート / 扶桑社 / 98/09/30

★★★★

技巧のみで勝負という感じだが、たしかに力がある

 30代後半の女性弁護士が、20代前半の恋人の男の両眼をえぐりだすという事件を起こし、それが大変なニュースになっているという状況で、その女性が一連の経緯を思い出すために書いた手記という形をとっている小説。

 プロパーのミステリ小説ではなく、フェミニスト文学と呼んだ方がよいような小説なのだが、非常に力があるという印象があった。ちなみにフェミニスト文学に分類することも無意味だろう。

 内容は、中年のインテリが自分のやった不可解な行動について弁明するというもので、主人公が男であればこの手の小説はいくらでも存在する。これが目を惹くのは、これが女性による、女性を主人公とした小説だからであり、覗き見趣味的な要素を積極的に活用しているという印象もあって、これって実はものすごく単純な仕掛けの本なんじゃないの、という疑問も湧く。まあそれだけに力強さの印象も残るのだけれども。

1998/10/23

 小説内の手記という小説手法上の問題についてのいくつかの考察が『ひとりで歩く女』にある。ただし、この本は本格推理小説であり、トリックのヒントをかなり露骨に書いているので注意していただきたい。

1998/10/25

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