東京現代建築ほめ殺し

建築三酔人 / 洋泉社 / 97/03/31

★★★★

特殊な業界を垣間見る面白さ

 東京にある現代建築を、3人の匿名の「業界関係者」がいろいろと勝手に批評するという形式をとった業界暴露もの。ほんとうに3人で書いているのか不明である。匿名で書かなければならないところに、この業界の哀しさが感じ取れてナイスである。

 こういうタイプの本がつねに持っている面白さ、ってのはあります。偉い人が「裸の王様」であることを指摘する、と。で、作者(たち)はきわめてまっとうな批判精神を持っており、しかも自ら業界に身を浸しているということをちゃんと意識しているので、なかなかバランスのとれた面白い読み物になっていると思った。この業界に関する知識が何もない私が言うのもなんだが。

 個人的には、こういう類の「建築家」がでかい顔をして横行している事態はなくしたいものだ。この本も、結局はゼネコンとの癒着(とあえて言っておこう)を根本に持つ、勝手にできあがった権威の中での内輪もめということであって、というかそうであるということをちゃんと意識しているからこそ、この本はいい本になっているんだけど、まあ仕方ないですな。関係ない世界だし。東京にいかに変な建物ができても、別に私はそんなに関係ないし。

 ひとつだけ。つい最近、天王州アイルあたりの風景を見て、こりゃ何だと思ったばかりだったのだが、この本を読んで、どうしてああなっているのかがよくわかった。断言してよいが、お台場あたりをはじめとするウォーターフロントは、あと50年ぐらいすると(いやそこまで行かなくても)、首が切断された小学生の死体とかがしょっちゅう発見される、大変な犯罪発生率を誇る地域になるだろう。

1998/4/3

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