市場対国家

世界を作り変える歴史的攻防

The Commanding Heights: The Battle Between Government and the Marketplace That Is Remaking the Modern World

ダニエル・ヤーギン、ジョゼフ・スタニスロー / 日本経済新聞社 / 98/11/18

★★★★

勝ち組による歴史観

 原題の"The Commanding Heights"は、国家が国内経済を把握するために占領する地点のことで、「管制高地」と訳されている。1922年11月にレーニンが演説の中で(この意味で)使った言葉だそうだ。

 この本の著者の片方、ダニエル・ヤーギンは、『石油の世紀』でピュリッツァー賞を受けたノンフィクション作家。この本は、20世紀に世界各地で繰り広げられた、経済を巡る国家と市場の戦いを、ドキュメンタリー風にまとめたものである。第二次世界大戦の混乱からの復興を果たすためには国家による統制がある程度必要だったのは事実だが、現代においては、国家の介入は最小限に抑えて、市場に任せてしまうのがとにかく正しいのである、という世界観で、世の中のすべての出来事を説明しつくそう、という感じの本。

 南北アメリカ、ロシア、ヨーロッパ、アジア、アフリカなど、世界各地に目を向けており、扱っている時期もかなり長いので、簡単な20世紀世界史のハンドブックとして役立ちそうな気がする。感想の一つは、「勝ち組の歴史観による歴史書はつまらない」というもの。

1998/12/24

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