業火

Point of Origin

パトリシア・コーンウェル / 講談社 / 98/12/15

★★

またもや問題含みの作品

 スカーペッタ・シリーズの最新作。

 『スズメバチの巣』についてのメモで、パトリシア・コーンウェルという作家の問題について述べたが、この最新作もやはり問題含みである。相変わらず伏線は伏線として機能していないし、犯人が判明するプロセスも唐突だし、検屍局長であるスカーペッタはヒラにやらしとけばいいような仕事をいつまでもやってるし(管理職として何をやっているのだ?)、まあ無茶苦茶だ。またもや判断保留。

 491ページ当たり。犯人は重警備の精神病研究センターに収容されているのだが、そこからどうやらインターネット経由で外の世界に共犯者を見つけたらしい。スカーペッタはそのセンターを訪れて、PCが置いてあることに気づく。以下引用。

アメリカ・オンラインにアクセスした。ユーザーネームとパスワードを打ち込むようにとの指示メッセージがでる。所長は私のやっていることを見ている。
「患者はインターネットにはぜったいアクセスできないようになっていました」と、彼女は言った。
「どうしてわかります?」
「うちのコンピューターはインターネットにつながっていないので」
「でもモデムはついているでしょう。少なくともこれにはついているわ。インターネットにつながらないのは、電話のジャックにケーブルがさしこんでないからでしょう」
壁の小さなさしこみ口を指さし、ふりむいてドクター・エンサーを見た。
「どこかの電話のケーブルがなくなったことはない? だれかのオフィスから。たとえばスーザン・ブラウスタインのオフィスとか?」
所長は目をそむけた。私の言わんとしたことがわかったらしく、その顔に怒りと困惑の色があらわれている。

 では、そのときスカーペッタはAmerica Onlineにどうやってアクセスしていたのか? そもそもAmerica Onlineからでもインターネット・メールは使えるわけだし。

 コーンウェルは犯罪捜査や検屍や(今回の作品では)ATFによる火災跡の捜査などについて詳しく記述することが多いのだが、あれらの記述の中にもこういうレベルの問題がいっぱい含まれているのだろうか?

1998/12/24

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