なぜ「戦争」だったのか

統帥権という思想

菊田均 / 小沢書店 / 98/08/15

★★★

「右」がかった太平洋戦争論

 著者のことは知らないが、文芸評論家らしい。帯には「戦後世代による戦争論」とある。「気鋭の批評家による昭和史への問い」。統帥権というキーワードをもとに大東亜戦争に突入した日本を読み解く試み。立場としては自由主義史観っぽい。『敗戦後論』と位置が少し似ているが、こちらの方が歴史の考証より(あちらは文芸評論)。

 まあ司馬遼太郎っぽいとまとめられてしまうかもしれないようなものなのだが。

 著者による材料の捌き方に同意するかどうかはともかく、描き出された絵全体はなかなか見応えがある。

 しかし、この手の話にいまひとつ関心が持てないのは、たぶん、戦前の政治が私にとって縁遠く感じられるからなのだろう。陸軍の中でこういう対立があって、この時期にこの人はこう動いた、という分析は、私が知りたいことではない、という感じがする。現代の自民党の派閥の間の力関係でさえも知りたくないのだから、50年以上前のそれはなおさらだ。

1998/12/28

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