夢のなか

連続幼女殺害事件被告の告白

宮崎勤 / 創出版 / 98/12/10

★★★★

どうにも座りの悪い本

 第1章は宮崎勤と『創』の編集者の間で交わされた書簡をまとめたもの。第2章は宮崎勤のところに寄せられた手紙をまとめたもの。本人はこの部分をメインにした本を出したいと考えていたようだ。第3章は、第一審公判における被告の供述要旨。第4章は「解説」で、大塚英志と香山リカによる文章と、芹沢俊介と山崎哲による対談が収録されている。ちなみに「宮崎」の「崎」の字は本当は違って、旁の「大」の部分が「立」である。

 この本を読んで、宮崎勤が精神を病んでいるということに賛成しない人はいないだろうと思う。しかし、第一審では責任能力ありとして死刑判決が下された。裁判での主な争点となったのは、犯行の時点でこのように病んだ状態がすでに生じていたのかどうか(病状は逮捕後に急速に悪化したとされる)ということで、精神鑑定が2回行われ、3通の鑑定書が提出された。そのうちの2つが責任能力あり、1つがなしという結論になった。

 しかし、そういったテクニカルなことを議論していても仕方がない、と思わせてしまうところにこの事件の問題がある。香山リカが述べているかもしれないのだが(文章の趣旨が曖昧なのでよくわからない)、本当はそのテクニカルなところこそが重要なはずなのに、宮崎勤の事件はそうでない部分で語られすぎてしまった。しかしいま、いろいろなことが明らかになって、死刑の一審判決が出た時点で、この単なる狂人をどう処理していいかわからなくなってしまったのである。彼に新人類的、オタク的な属性を見てとったのは結局のところすべて勘違いであり、実体はきわめて普通の、昔からよくいたと思われる精神病者だった、というオチがついた、というわけだ。どうするんだろう?

1999/1/19

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